「峡泉」

【体験】
長野の老舗、松岡屋醸造所の醤油蔵見学

2019.09.04


松岡屋は、長野県で最も歴史のある味噌・醤油蔵の一つです。
代々受け継がれてきた昔ながらの製法を守り、今なお杉樽で醤油を仕込んでいます。


宿の夕食や朝食で使っている味噌と醤油はこの松岡屋のもの。


大正11年1月2日の初売りにて。

1534年に穀物問屋として創業した松岡屋。
味噌・醤油作りは文政元年(1818年)から始まり、長野県内では2番目に古い蔵元として認定されています。


味噌蔵の見学は行っていないため、今回は醤油蔵を見学させてもらいました。


醤油の原料は小麦・大豆・塩。
小麦と大豆は長野県産を使用しています。


機関車のように見えるこの機械は、醤油の原料のひとつ、小麦を煎るためのもの。
半世紀以上、修理を繰り返しながら大切に使ってきました。
機械の維持と作業にはとても手間がかかるため、松岡屋のように原料の小麦から煎っている蔵元は全国的に見てもかなり少ないそうです。


きつね色になるまで小麦を煎った後、この大きな機械で小麦を冷やし、粉にします。
火を入れた小麦を粉にしたものを香煎(こうせん)と呼び、この香煎が醤油の香りや色を特徴付けるほか、後に加える麹菌のアミラーゼを活性化させる作用もあります。


右から順に、煎る前の小麦、煎った後の小麦、香煎。
煎った後の小麦はポップコーンのように膨れ上がります。


香煎ともう一つの原料、蒸した大豆を、室の中で種麹と一緒に混ぜ合わせます。


室の中で数日発酵させ、完成した麹を、少なくとも大正時代より前から使われている大きな杉樽の中で、塩水に漬けて熟成させます。
熟成の期間には少なくとも1年以上かかり、乳酸菌や酵母菌といった微生物の働きやすい環境を整えるため、職人は撹拌という作業を定期的に行わなければなりません。
ちなみに、松岡屋のように現在も杉樽で醤油を仕込んでいる蔵元は全国でわずか1%以下と言われています。


熟成中の状態を見せてもらいました。
この状態は「もろみ」と言い、見た目は味噌のようですが、味見するとしっかりと醤油の味がします。


熟成したもろみはそのままでは醤油になりません。
もろみを布で包み、それを一枚一枚重ね、圧縮することでサラサラとした醤油を絞り出します。
この機械はもろみを圧搾するためのもの。半世紀以上前から醤油を絞り続けてきました。


圧搾された醤油は火入れを行い、ようやく製品化されます。
醤油作りはとても手間と時間のかかる作業なのです。


松岡屋醸造所の15代目、木下拓さん。

希望すれば蔵を見学させてもらえるほか、こだわりの醤油や味噌、山菜の味噌漬けなども直接購入できます。
場所は飯田駅から歩いて5分ほどです。

松岡屋醸造所